【長時間でも快適にプレイ】正しいゲーミングチェアの座り方

ゲーミングチェアは、ゲーマーが長時間ゲームに没入できるように設計された椅子です。

近年特にPCゲーマーの年齢層や性別が多様化し、様々なユーザーがゲーミングチェアを使うようになりました。それにより非常に豊富な種類のカラーやデザインのチェアが製造・販売されています。とはいえ、どのゲーミングチェアもデザインだけでなく、快適性や機能性にも力を入れて設計されています。

しかしユーザーの多くは、腰当てや座面の高さ調整など、様々な調整機能をもつゲーミングチェアをうまく使い切れておらず、正しい座り方ができていません。例えばゲーム中に

「おしりの位置が前にズレて肩が背もたれにベッタリ付いた体勢でゲームする」

ということをやっていませんか?

これは決して正しい座り方ではありません。

このように人間工学に基づいて設計されたチェアでも、自分にあった『座り方』が出来ていないと、その効果を十分に発揮できないのです。

そこで今回は「正しいゲーミングチェアの座り方」、人間工学的ないくつかの研究結果を引用しながら解説していきます。この記事を読んだあなたが、これまでより効率のいいゲームが出来るようになると幸いです。

なぜ長時間座ると体が痛くなるのか
そもそも人間は「立つ(歩く)」ことが得意な構造をしており、「座る」ことに向いていません。人間が座ると腰椎が内側に曲がってしまい、骨盤が傾いてしまいます。背中の「S字」カーブが「つの字」カーブになってしまうのです。

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この状態のまま長時間座り続けることで、分散されていた上半身の体重が腰の1点に集中してしまい腰が痛くなってしまいます。また、内臓が圧迫されたり太ももの筋肉に負担がかかったり、呼吸の効率が悪くなったりなど、体への悪い影響がたくさんあります。実際に、座り続けることで腰痛だけでなく筋肉痛や慢性疲労、体重増加やうつ病などのリスクが上がるとされています。

このような理由から、人は長時間座ると体を痛めてしまうのです。

しかし逆に言えば、この前かがみの体勢さえクリアできれば、長時間座ってもある程度効率のいいゲームプレイができることになります。

座り方が悪いとゲームにどう影響するのか

神経内科医のロジャー・スペリー氏によれば「体が疲れることで、脳の機能が低下する」とされています。

つまり悪い座り方を続ければ、上記のように体に過度の負担がかかって疲れやすくなり、脳の機能が低下してしまいます。それによって集中力や判断力が落ち、ゲームのとっさの判断が鈍ってしまうのです。

せっかくゲームの腕が上達しても疲れによって負けてしまうのは不本意ですよね。そうならないためにも正しい座り方を習得する必要があるのです。

椅子の正しい座り方

では前かがみの体勢にならなずに、楽に座るにはどうすれば良いのでしょうか。

オーストラリアの大学で、姿勢について研究しているジェニファー・ピント氏らの論文では、正しくチェアに座るために以下4つのポイントを提案されています。

①足を床に平らに置く

これは上半身の体重をできるだけ分散するために必要です。足がしっかり床についていないと、上半身の重みが腰に集中してしまいます。

一部のゲーミングチェアに付属しているようなフットレスト(足置き)は、ゲーム中には使わず、しっかりと足の裏を床につけるようにしましょう。デスクなどの高さによっては、座面をかなり高くする必要があります。その際は、地面に置くタイプの「足置き」を使ってみて下さい。

②腰を膝より高い位置にする

足がしっかり床について座った際に、腰の位置は膝の位置よりもやや高い場所になければいけません。それにより腰より下の足首や膝、腰にかかる負担が最小限に抑えられるのです。

ゲーミングチェアの殆どは座面の高さ調整機能が付いています。それを活用しながら膝と腰の位置を調整して下さい。

③深く座り、腰を「腰当て」に軽くもたれる

これが最も重要なポイントです。深く座って、腰だけを腰当て(ランパーサポート)に軽くもたれることで、反射的に自然と背中がピンとまっすぐになるのです。この時大事なのは肩付近が背もたれから離れていることです。

大抵のゲーミングチェアには「腰当て」が搭載されていますね。背もたれの腰のところがボコっと出ているのはこのためです。独立したクッションタイプの腰当ての場合は、しっかり腰の位置に当たるように高さを調整して活用していきましょう。もし腰当てがないチェアを使っている場合はグルグル巻きにしたタオルを用意して、腰の高さに来るように背もたれに取り付けましょう。

④目線はまっすぐ

首などへの負担を減らすために、目線は地面に平行にまっすぐ向くようにしましょう。それにより頭をバランスよく支えられるようになります。またヘッドレストがあれば後頭部をつけるようにして下さい。

見上げるような位置にモニターがあったり、ノートパソコンなどで下を向くのはNGです。デスクやモニターの高さを調整して画面の中心が目線のまっすぐの位置に来るようにしましょう。

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この4つの状態を維持できれば、健康的で負担の少ない楽な姿勢をキープすることが出来るとのことです。

さらに体への負担を減らすために

上記の座り方が出来ていても、長時間ゲームをプレイしているとどうしても血のめぐりが悪くなるなど体への悪影響が残ります。それを改善するために定期的に姿勢を変えることが重要です。

アメリカで健康科学(スポーツ科学)を研究しているクレア・E・ドロフ氏らの論文では、定期的な「リクライニング」が推奨されています。

定期的に最低でも115°の角度で背もたれをリクライニングをすることで、座りながら脊椎、腹筋、脚の周りの筋肉をリラックスさせることが出来、血液の循環を改善することが出来るのです。

対戦ゲームであれば1プレイ終わったときに、それ以外であれば1つの山場を乗り越えたときに、意識してリクライニングをしてみましょう。当然このときは頭や腰は力を抜いておきましょう。

もしリクライニング機能がない場合は、定期的に立ち上がって家や部屋の中を歩き回るだけで全然違いますよ。

3日間は我慢しよう

違う座り方に慣れていると、上記の正しい座り方を知っていても、気づかないうちに出来ていないことがよくありますね。特にゲームに集中しているとつい姿勢は崩れてしまいます。

姿勢に慣れるためには最低3日かかると言われています。

長時間のプレイでもゲームでよりよい結果を残し、快適にゲームし続けるためには、3日間は座り方に意識して我慢して座るように心がけましょう。