ゲームで使うメカニカルキーボードの魅力とは?なぜ注目される?

「PCゲーム用の周辺機器といえば何がある?」と聞かれて、あなたは何を思い浮かべますか?

多くの方は「マウス」や「コントローラ」、「モニター」や「GPU」、「デスク」や「チェア」と答えるでしょう。

実際、ゲーミングマウスはオフィス用マウスに比べて高い精度や感度、カスタマイズ性を持ち、多くのゲームでプレイの質に影響を与えます。また高い解像度やリフレッシュレートを実現するためには、モニターやGPUも重要です。高いモチベーションで長時間快適にプレイするためにはデスクやチェアも重要です。

ここで「メカニカルキーボード」と答える人は少数派だと思います。

メカニカルキーボードはまだまだニッチなアイテムで、他のキーボードより価格が高く、1度も使ったことがない人がほとんどです。しかし近年、Razerをはじめとして、多くのゲーミングブランドからメカニカルキーボードが発売されてきており、注目度が高まっています。

そこで今回はメカニカルキーボードとは何か、ゲームで使うにはどんなメリットがあるのか解説していきます。

メカニカルキーボードとは

メカニカルキーボードは『1つ1つのキーが独立したキーボード』です。

「当たり前じゃん」と思われるかもしれませんが、一般的なキーボード(「メンブレンキーボード」といいます)は以下の画像のようにキーの内側(キーと基盤の間)が、すべてのキーで一体化された『ゴム』で覆われています。キーを押した時に跳ね返ってくるのは、この『ゴムの弾力』を利用しているからです。

一方でメカニカルキーボードはキーと基盤が1つ1つ独立してつながっており、各キーの内側に金属製のバネが付属されています。そのためキーを押したときには『バネの力』で反発するのです。

それぞれのメリット

構造に違いのある2つのタイプですが、それぞれどんなメリットがあるのでしょうか。一般的に言われているメリットをご紹介します。

メンブレンキーボードのメリット

  • 価格が安い
  • 軽くて持ち運びしやすい
  • 打鍵音が静か(ゴムだから!)
  • 湿気や水濡れに比較的強い

メカニカルキーボードのメリット

  • 長持ちする(キー寿命が長い)
  • 自分に合った打鍵感が選べる(後述)
  • カチッとなる打鍵感が気持ちいい
  • 使い続けても打鍵感が落ちにくい
  • 以上が、それぞれのメリットです。

これまでのメカニカルキーボード

1980年代頃までは、バネを使ったこのメカニカルキーボードがPCの主流でした。しかし、大量生産しやすく安い価格で作れる現在のキーボード(メンブレンキーボード)が開発されてからは、あっという間に下火になっていきました。

そのため、メカニカルキーボードは(一部のプログラマーなどを除いて)「一部の人間にウケるレトロなキーボード」というイメージが業界内で付いてしまいました。音楽で例えるなら「レコード」や「カセットテープ」のような存在です。

なぜ今、ゲームでメカニカルキーボードなのか

下火になっていたメカニカルキーボードが最近ゲームの場で使われ始めたのは、その構造上のメリットがゲームと合っていたからです。その理由をいくつか紹介していきます。

理由①:長持ちする

ゲームでは文字のタイピングに比べて、特定のキーが押される回数が非常に多いです。特に「W/A/S/D」キーは頻繁に使われますね。何度もキーが打鍵されると打鍵感が落ちたり、キーボードが壊れるのが早くなります。

多くのゲームは上に行けば行くほど技術力である「PS(playskill)」を高めた、より上手いプレイが求められます。せっかく慣れてきたのに、打鍵感が変わったり、キーボードを買い換える必要がでたら習熟度に悪影響ですよね。その点、永く使える(キー寿命が長い)メカニカルキーボードはゲームでの使用に適してるのです。

またメカニカルキーボードはキー(軸)が独立しているため、キー1つだけを新品に交換することも出来ます。

理由②:打鍵感が選べる

メカニカルキーボードのバネがある箇所は「軸(スイッチ)」と呼ばれます。この軸の種類によって様々な打鍵感の違いを作ることが出来ます。

例えば、力の弱いバネが入った軸を使って、スッと打鍵できるスピーディーなキーにすることが出来ます。逆にしっかりした打鍵と反発力で連打しやすいキーにすることも出来ます。さらに、軸によってキーストローク(キーを押す深さ)を変えることも出来るのです。

このように自分の指の力やゲームの種類に合った適切な打鍵感のキーボードを選ぶことが出来るのが最大のメリットです。一瞬の動作の差が勝敗を分けるようなゲームでは特に重宝されています。

マニアックなユーザーはキーの位置ごとに軸を変えたりしています。例えば力が弱い小指で使うキーは弱いバネの軸にする、というふうにです。

理由③:打ち漏らしを防ぐ

ゲームのプレイ中に「押したのに押せてない!」という経験はありませんか?

ソフトや通信環境などが原因の場合がありますが、認識されるまであなたがキーをしっかり押せていないことが原因の場合もあります。

メカニカルキーボードはキーを押すと、押したことが分かる「カチ」っという独特の感覚と音があります。これによりキーが押せていることを手と耳で感じ取ることができ、打ち漏らしを防ぐことが出来るのです。

それでも「押したのに押せていない!」があれば、おそらくあなたのせいではありません。ゲームや通信環境などを疑って、場合によってはサポートに報告しましょう。

メカニカルキーボードは慣れが必要

メカニカルキーボードは打鍵感と音がメンブレンキーボードと全く違うため、慣れるまではストレスが貯まります。1つ1つのキーの音がうるさいし、キーを押しにくいと感じがちです。マウスを変えるのとはわけが違うのです。

ですがそのメリットは大きく、慣れてしまえばきっと元のキーボードに戻れなくなるほど使いやすくなります。最初は我慢して使い続けることで、きっとあなたのゲームプレイの質にいい影響を与えますよ。