転職の面接で「退職理由」はどう答える?人間関係や残業、給料などで仕事をやめたのは嘘を言うのはNG?
転職活動での面接では、高確率で面接官に尋ねられる質問があり、その中でも気をつけたいのは「前職を退職した理由」です。
「仕事が合わなかった」、「上司や同僚など人間関係が嫌になった」、「給料が思ったより少なかった」、「残業ばかりで辛い」など、どうしても退職理由はネガティブなものも多いです。
ただ、面接時に素直に面接官に本当の理由を述べて良いのか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、そもそもどうして面接官は退職理由を聞いてくるのか?という採用担当者の心理をはじめ、みんながどんな理由で退職しているのか、そして退職理由は嘘をつかないで本当のことを答えたほうがいいのか、印象の良い答え方のポイントについて紹介します。
もくじ
みんなはどんな理由で退職してる?みんなの本音!
私が独自にとった「今の仕事を辞めたいと思ったことはありますか?」というアンケートに対して、「辞めたいと思ったことがある」と回答したのは全体の約7割という結果が出ていました。
会社を辞めたいと思うのは別に珍しいことではなく、誰もが一度は思うことなのではないでしょうか。
では、みんなはどんな理由で「仕事を辞めたい」、「退職したい」と思うのでしょうか?
人によって、会社を退職する理由はもちろんさまざまですが、しかし多くの人に共通していることがあります。
最初は「頑張ろう」と思って入社したものの、いざ実際に働いてみると思っていたものと違ったり、入社前にはわからなかった何かに不満を感じるようになることです。
上司からのパワハラ、セクハラ
たとえば、上司の対応や性格が気に入らなくて辞めるケースがあります。
部下の仕事の仕方や評価は、直属の上司に大きく左右されますよね。
上司の方針や能力に満足できなくても部下からは指摘しづらいですし、立場的に従うしかないため、不満が溜まりやすいと考えられます。
パワハラだけではなく、セクハラなどのハラスメントも退職理由としてよくあります。
人間関係
上司だけでなく、同僚など職場の人間関係が嫌になって退職する人も多いです。
職場全体の人間関係が悪いケースもあれば、自分だけが馴染めないケースなどもあります。
常に誰かをイジメや悪口のターゲットにする人や、新人に対して理不尽に厳しく不平等な対応をするお局様的な人など、「この人とはもう一緒に仕事をしたくない」と思うような存在がいたり…。
人間関係というのは仕事にも大きく影響することですし、職場の雰囲気が悪いと「仕事に行きたくない」というストレスに直結しますよね。
仕事をする上では、一緒に働くメンバーとの人間関係は切っても切れないものなので、特に重大な悩みに発展することが多いでしょう。
給与や待遇、勤務条件
働き方や待遇に関する不満も、退職理由として多く見受けられます。
たとえば残業や休日出勤が多くて、プライベートの時間を持てないケースなど、労働時間への不満が挙げられます。
時間の拘束が多いと、転職したくてもそもそも転職活動をする時間すらなくて、どんどん精神的にも追い込まれてしまうこともあります。
また、給与に関する不満もよくある退職理由で、金額が少ないことやその会社では昇給が見込めないために辞めるケースは珍しくありません。
お金は全てとは言わないものの、生活する上でお金は絶対的に必要なものです。
自分の仕事量や努力に対して納得できる報酬を得られていないのは、退職理由として仕方のないことかもしれませんね。
仕事内容が合わない
仕事内容が面白いと感じられなかったり、自分には難しいと思ったりするケースなどで、不満を持って辞める人もいます。
入社する前はやってみたいと思ったことでも、いざ仕事を始めてみると「楽しくないな」と感じたり「自分には合わないな」と思ってしまったり、仕事内容に不満がなくても、企業の将来性に不安を感じて転職する人も珍しくありません。
厚生労働省が発表した平成28年雇用動向調査結果の概況によって調査された「転職者が前職を辞めた理由」について、20代の男女のデータをもとにマイナビエージェントが作成したものが載せられていました。(マイナビエージェント転職理由(退職理由)の書き方と答え方|面接での回答例もご紹介より)
これによると、前職を辞めた理由で1番多いのは「給料等収入が少なかった」、次に「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」、3位が「職場の人間関係が好ましくなかった」となっています。
やはりどれもネガティブな理由ばかりであり、結婚や出産・育児などポジティブな退職理由で辞めている人はとても少ないことがわかります。
転職時の面接で、面接官が退職理由を聞く理由とは?
退職理由の答え方を考えるときには、まずは面接官が何を聞きたいのか、質問の意図を把握することが大切です。
面接官が「退職理由」をあなたに聞くことで、何を知ろうとしているのかを考えてみましょう。
「退職理由」を聞くことで面接官は何を知りたがっているのか?
- また同じ理由で退職しないか?
- 仕事への意欲やモチベを持っているか?
- どんな人柄なのか?
などです。
前職をなぜ辞めたのかを知れば、自社に採用した場合の予想がつきやすくなります。
応募者が退職理由として述べた内容が、自社で働いた場合にも当てはまる場合があります。
そのような場合は、採用してもすぐに転職しようとするかもしれません。
たとえば労働時間の長い企業が、「残業が嫌なので退職しました」という人を雇っても、長続きしないでしょう。
企業側は、せっかく採用した人にすぐに辞められてしまうと困ってしまうのは当然ですよね。
採用活動を再び行わなければならないので、余分なコストがかかってしまい、採用後に導入のための教育を行った場合は、その時間や手間も無駄になってしまいます。
次の応募者が、すぐに現れる保証はありませんし、新しい人材を確保できるまで、業務が滞ってしまうケースもあるでしょう。
そのような事態を避けるため、面接官はすぐに辞める可能性の低い人を採用したくないと考えています。
そのため前職を辞めた理由を聞き、その人がまた同じような理由で辞めてしまわないか確認したいのです。
また、その人が仕事に対しての意気込みが甘く、なんでもすぐ辞めてしまったり諦めてしまうような人ではないのか、仕事への姿勢や人柄を知りたいというのもあります。
つまり、面接官が知りたいと思っているこれらに対する不安を、解消するような回答でなければ、回答する意味がなくなってしまいます。
こういった面接官の本当に知りたいことを、どう答えれば退職理由をプラスの印象に受け取ってもらえるんでしょうか。
面接官に好印象を与える退職理由の答え方!
退職理由の答え方によって、面接官の応募者に対する心証は大きく変わります。
曖昧な答え方をすると、それだけで悪い印象を与えてしまいかねません。
大切なのは不安を解消する説得力のある答え方をすることです。
そのためのポイントとして、志望動機と関連付けて答えることが挙げられます。
本来、退職理由と志望動機には深い関わりがあるはずだからです。
たとえば、保守的な社風が嫌で辞めた場合、革新的な企業で働きたいことが志望動機になるでしょう。
このように退職理由が志望動機に自然な流れで繋がっていると、聞いている面接官は納得しやすくなります。
両者をセットにして考えることが大切です。
また具体的な言葉を使って述べることも大切です。
たとえば、キャリアアップしにくいことが退職理由であれば、自分の目指すキャリアも具体的に説明したほうが良いです。
ただし具体的だからといって、転職関連の書籍などに載っている例文をそのまま用いるのは良くありません。
面接官は例文の表現は、聞き飽きている可能性があります。
退職は人生を左右する大きな出来事なので、深く考えて決断するのが一般的です。
その考えを自分の言葉でしっかり伝えようとする姿勢に、好感を持つ面接官もいます。
自信がなさそうに話すと、後悔しているように見える恐れがあります。
しっかり面接官の目を見て、大きな声ではっきり答えることが重要です。
ネガティブな退職理由は、嘘をついて回答してもいい?
ポジティブな理由で辞めた場合は、退職理由を躊躇せずに話せるでしょう。
しかしネガティブな理由で退職した場合は、正直に話しにくいと感じる人が多いのではないでしょうか。
そのような場合であっても、基本的には正直に話したほうが良いです。
多くの面接官は退職理由を聞いた後に、その内容についてさらに質問してきますし、最初に嘘の退職理由を述べてしまうと、その後も嘘をつき続ける必要があります。
不自然な受け答えになりやすいので、経験豊富な面接官には嘘と見抜かれてしまう可能性が高いです。
本当の退職理由を述べれば、その後にどのような質問が続いても困ることはないでしょう。
また嘘の退職理由を述べることには、もう一つ大きなリスクがあり、採用された入社後に対応に困ってしまうケースがあることです。
たとえば職種が嫌で辞めたことを隠していると、入社後にその職種への転換を指示されることがあるかもしれず、せっかく転職しても働きにくい状況になることがあるので注意が必要です。
それどころか退職理由の中に嘘の経歴が混じっていると、経歴詐称として問題になってしまう恐れもあります。
勤務状況や退職理由を前の職場に確認する企業も存在するので、ばれないと思っていても発覚することがあり、トラブルに発展することもあるので、できるだけ正直に話すことを心がけましょう。
退職理由の答え方で注意すること!NGな回答例
退職理由は正直に話すのが基本ですが、表現方法については工夫をする必要があります。
嘘になってはいけませんが、ポジティブな言葉に言い換えることは問題ありません。
たとえば「仕事が多すぎるのが嫌だった」という回答はNGです。
「落ち着いて丁寧に仕事ができる環境で働きたかった」などと言い換えると良いです。
「息苦しい職場から抜け出したかった」というように、職場に対する不満もそのまま述べるのはNGです。
この場合は、「もっと広いステージで活躍したいと思った」と言い換えると印象は悪くならないでしょう。
大切なのは、退職理由が悪口にならないようにすることです。
前職の職場や人間関係に対する悪口をいうと、影で文句を言う人物というレッテルを貼られてしまうかもしれません。
また、言い換えるのが難しいネガティブな回答もあります。
「給与が低いことが不満だった」というNGな回答もその一つです。
その場合は言い換えるのではなく、客観的なデータを示すなどの工夫をすると良いです。
まず売上額や契約数など、自分の達成した成果を述べましょう。
それに対して給与の金額が見合ってなかったことを主張すると良いです。
そうすれば面接官は、成果と金額を照らし合わせて客観的に判断できます。
例えば「給料」に不満だった場合の言い換えは…
「前職では、営業で新規顧客の開拓を担当しており、月間売上トップも経験しました。しかし、年功序列の企業風土だったため、成果が評価につながりにくいという状況でした。営業職は自分の努力が成果につながる仕事だと思っております。年齢だけでなく、実力、実績を評価してもらえる御社で仕事に邁進したいという考えから、転職を決意いたしました。」
(パソナキャリア面接で退職理由を聞かれた時の答え方 例文付きで解説より)
パワハラや人間関係が理由の場合の言い換えは…
「前職も営業職でしたが、個人主義が徹底しており、個々に成果を上げることを求められる風土だったため、情報共有や協力体制の構築が難しい環境でした。私は周囲とコミュニケーションを取りながら仕事を進めるのが好きなタイプですが、競争を過度に推奨する雰囲気が壁となり、もどかしい思いを抱えていました。御社の組織営業力の強さは非常に有名です。私もその中で活発にコミュニケーションを取り、『個人の力をチームで活かして仕事がしたい』という考えから、転職を決意いたしました。」
(パソナキャリア面接で退職理由を聞かれた時の答え方 例文付きで解説より)
残業が多くて退職した場合の言い換えは…
「前の職場や人間関係には満足していたのですが、ほぼ毎週休日出勤があったため、十分なスキルアップの時間を確保できませんでした。Webアプリケーション開発という仕事には魅力を感じていますので、今後もRubyなどの新しい技術を身につけて開発に活かしたり、スマートフォン向けサービスの開発に要件定義から関わったりすることでさらに成長したいと思い、御社を志望いたしました。」
(転職Hacks面接官も思わず納得!面接の退職理由の話し方まとめより)
短期間で退職した場合の言い換えは…
「営業事務として入社しましたが、実際には営業に配属され、今後も異動の可能性がなさそうなため、退職を決意しました。
営業として新規顧客の開拓に取り組んだうえで、査定などの場で上司に配置換えを願い出たのですが、引き続き営業として活躍するよう話を受けました。
ただ私自身としては、営業事務の経験を活かし、エクセルやAccessといったパソコンスキルを伸ばしていきたいと考えております。今後を考えると目指すべき道を早く選んだほうが良いと判断し、不本意ではありましたが短期で退職することにいたしました。」
(転職Hacks面接官も思わず納得!面接の退職理由の話し方まとめより)
応募者の意見が妥当だと判断すると、マイナスの印象を持つことはないでしょう。
今回紹介した内容を参考にして、ぜひ退職理由の答え方を検討してみてはいかがでしょうか?
退職理由についてはこちら仕事を辞めたい!転職したい!みんなの理由と本音、会社にはどう伝えた?でも解説しています。
このページのまとめ
- 退職理由は嘘をつかない
- 志望動機と関連付ける
- 前職の愚痴や不満、ネガティブなことは言わない
- ポジティブなことに言い換えて意欲を示す