葉酸サプリは、野菜や果物といった食品に含まれる葉酸とは異なり、「摂りすぎ」に注意が必要です。
そもそも葉酸には下記の二種類があります。
このうち、「食事性葉酸」は、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」において、「過剰摂取による健康被害の報告は存在しない」と記されています。
つまり普段の食事においては、葉酸の摂りすぎについて、あまり意識する必要はありません。
一方で葉酸サプリによって「合成葉酸」を摂取する際は、後に述べる理由から、一日の摂取量が定められています。
葉酸サプリに含まれる「合成葉酸」は、狭義の葉酸とも呼ばれます。
この狭義の葉酸について、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」では、次のように記されています。
食事性葉酸に比べて狭義の葉酸は 2 倍程度の生体利用率を有する
日本人の食事摂取基準(2020 年版)
つまり、葉酸サプリは食事からの葉酸よりも、「効率よく体内に取り込まれて利用される」ということです。
摂りすぎが危険ならば、葉酸サプリは服用しない方が良いのでは・・・と思う方もいるかもしれません。
しかしながら、妊活中や妊娠初期は食事だけで必要な量の葉酸を摂取することが難しく、葉酸サプリの服用が推奨されています。
数々の試験によって、妊活中や妊娠初期に、葉酸サプリを1日に400㎍摂取することで、「神経管閉鎖障害のリスクを低減できる」ことが明らかになっています。
葉酸サプリは、摂取量を守ったうえで、妊活に上手に取り入れていきましょう。
葉酸サプリのデメリットには、以下のようなものがあります。
葉酸自体は薬ではなく栄養素のため、厳密いえば副作用というものはありません。
ただし葉酸サプリを過剰摂取すると、下記のような症状が現れることがあります。
葉酸サプリを活用する場合は、各サプリに記載の用法用量をきちんと守り、過剰摂取の目安である「1日1000μg」を越えないようにしましょう。
まれにではありますが、葉酸サプリによるアナフィラキシー反応(強いアレルギー反応)の報告があります。
また、サプリは複数の栄養素が含まれていたり、錠剤にする過程で様々な添加物を使ったりしています。
他のサプリを併用している場合は、飲み合わせによって葉酸や他の栄養素を過剰摂取してしまう可能性もあります。
サプリを飲んで体調不良が出た場合は、葉酸・添加物へのアレルギー反応や、身体に合っていない可能性も考慮しましょう。
妊婦における葉酸の過剰摂取は、胎児への影響も懸念されます。
オーストラリアで発表された研究では「妊娠後期(30~34週)に、葉酸を高用量補足(1日1000μg)すると、胎児の小児喘息のリスクが25%と高まる」という報告があります。
一方で最新の「産婦人科診療ガイドライン 産科編2020」によれば、「葉酸摂取がこれら疾患(子供の喘息・喘鳴・アレルギー性疾患)の発症リスクを上昇させるというエビデンスはない」とされています。
過度に心配する必要は無さそうですが、胎児への影響を考えて、やはり過剰摂取は避けるのがベストでしょう。
では、妊活中および妊娠中の女性において、葉酸サプリはどれくらい摂取すればよいのでしょうか。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020 年版)」では、下記のように定められています。
妊活中 ・妊娠可能性あり | 妊娠初期 | 妊娠中期 ・後期 | 授乳期 | |
食事性葉酸(μg/日) | 240 | 240 | 480 | 340 |
狭義の葉酸(μg/日)※サプリ | 400 | 400 |
妊活中や妊娠の可能性がある時期から、妊娠初期(~約15週)までの間は、食事に加えて、葉酸サプリを400μg/日摂取することが推奨されています。
「葉酸サプリは妊活中から摂取した方が良い」というのは、知らない人も多いかもしれません。
これは、受胎後およそ 28 日間が神経管の形成に重要な時期であり、胎児の神経管閉鎖障害を防ぐには、妊娠が分かる前の時期から葉酸が必要なためです。
また、妊娠中期以降も、通常時の推奨摂取量(240μg/日)よりも多くの葉酸摂取が必要とされています。
食事で不足してしまう場合は、摂取上限に気を付けながら上手にサプリを取り入れていきましょう。